ライフクリティカル/ミッションクリティカルな組込みシステムを開発するエンジニアは、LinuxまたはAndroidの環境を追加する際には、さらに安全、セキュリティ、および信頼性の要件を達成しなければなりません。事業上の重要なメリットには、プラットフォームコストの削減、柔軟なソフトウェア基盤、オープンソースソフトウェアとの分離、およびソフトウェアの複雑性の軽減などがあります。
組込み設計者はシステム仮想化に基づいて複雑なシステムの開発を劇的に変えようとしています。仮想化は異なるシステムを専用の仮想マシンにまとめ、1個のハードウェアプラットフォーム上で実行します。さらに、ハードウェアを抽象化することでプラットフォームの再利用や新ハードウェアへの素早い移行もできるようになります。
2003年から、INTEGRITY Multivisorは自動車、産業、航空宇宙、およびモバイルのプラットフォームで、この役割を果たしてきました。
INTEGRITY Multivisorは、1個以上のゲストOSを動作させると同時に、ライフクリティカル/ミッションクリティカルな機能をいろいろなマルチコアSoC上で実行することが可能で、さらに安全とセキュリティについて認証を受けている業界で唯一のアーキテクチャです。組込みにおける最難関の課題に対応すべく開発されたINTEGRITY Multivisorは、安全性、セキュリティ、および性能を落とさずに、複雑なシステム設計を短期間で、最適化とコスト削減を実現したうえで可能にするソリューションです。
図にあるように、INTEGRITYの信頼性の高い分離型、リアルタイムのパーティショニングアーキテクチャはミッションクリティカルなリアルタイムソフトウェアの機能と同時に任意のゲストOSを複数個実行します。アプリケーションとゲストOSはシングルコアまたはマルチコア上で効果的にスケジューリングされ、厳しいアクセス制御モデルのもとで互いに効果的な通信を行ったりGPU、Ethernetなどのシステムペリフェラルを共有したりできます。
グローバルな業界団体がINTEGRITYの分離型カーネルアーキテクチャを高信頼性が要求されるシステム用アーキテクチャとして信頼しています。
ハイパーバイザの多くは、ゲスト環境をサポートするために必要なソフトウェア、例えばデバイスドライバやミドルウェアをモノリシックなアーキテクチャにバンドルしています。その結果、汎用のオペレーティングシステムと同じように、未知の脆弱性にさらされ、共通のポイントで障害を起こすようになってしまっています。Xen、VMware、およびその他の商用のハイパーバイザなどでは、多数の仮想マシンの「エスケープ」やサブバージョンが発見されています。
それとは対照的に、INTEGRITY MultivisorはリアルタイムOS INTEGRITYの安全でセキュアな分離カーネルの仮想化サービスで、クリティカルな環境の大部分でソフトウェアを分離して保護できることが既に認証されています。
INTEGRITY Multivisorは他ではできない方法でエンジニアリングを変革します。次に示す例はすべてGreen Hills Softwareの顧客での事例をもとにしたものです。
自動車の統合型コクピット
次世代の携帯電話プラットフォーム
多階層セキュアワークステーション
インテリジェントな兵器システム
仮想化された組込みシステムでは、同時に実行できるソフトウェアの階層を増やすことができます。そのため、コードやその相互作用のデバッギングは従来の組込みシステムとは比べ物にならないくらい複雑です。実行されるコードがレイヤごとに一目瞭然でなければ開発効率は大きく落ち込み、新製品のスケジュールにも影響が出ます。
1990年代前半、MULTIデバッガはいろいろなデスクトップOS上で複数の組込みOS、言語、およびプロセッサのデバッグが可能なグラフィカルインターフェースを備えた初の商用デバッガでした。そして現在、この組込み仮想化の時代に、MULTIデバッガは再び「初めて」この複雑なターゲット環境の詳細な可視化と制御に成功したデバッガとなりました。
競合の仮想化アーキテクチャでは、いろいろなメーカーの出しているいろいろなデバッガが入り乱れ、それぞれ個別に設定を行わなければなりません。MULTIデバッガは対照的に、あらゆる実行レベルを同時に可視化、制御します。